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「……と、……こと、尊、あ、起きましたー?」
穏やかに名前を呼ばれ、目が覚める。
あれから、いつのまにか眠っていたらしい。
「……蛍?」
「はい、俺ですよー」
伏せていた顔を上げると、我が委員会の副委員長がカウンターの前に立っていた。
ひらりと手を振り、仕方なさげに微笑む様子を、覚醒しない頭のままぼんやりと見る。
「気持ちよさそうに寝てたんで、そっとしておいたんですけどー…流石にこの時間なので起こしましたー」
指を指されたのは窓の外。
外はすでに薄暗かった。
俺は、何時間寝てたのか。
蛍が来たことにすら反応しなかった自分に、感覚が鈍ったなと苦笑を零す。
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