1280人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
昨年までは立ち入りが叶わなかった、図書委員用のカウンターに足を踏み入れる。
あるのは貸し戻し専用の端末、簡素な筆記用具、そして防犯カメラの映像が映し出されているモニター。
置かれている椅子に腰掛け、辺りを見渡す。
まだ委員決めは行われていないため、いるのは数える程度の一般生徒のみ。
今日は暇そうだな。
そう思い、カバンの中から適当に持ってきた本を取り出す。
なるべくだらしなくならないように座り直し、静かに本を開いた。
読み出して、何時間が経っただろうか。
小さく足音が響いた気がして、顔を上げる。
「尊」
呼びかけられた先には、カウンターの外からこちらを見下ろす無表情な美男子。
「棗、珍しいですね。あなたがここに来るなんて」
最初のコメントを投稿しよう!