「ーーー気がつかなかったのか、自分が笑っていた事にも」

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「すみません、少し疲れていたみたいです」 「テスト疲れですかねー。俺もクタクタです」 そう言って少し離れた椅子に腰掛けた蛍の顔には確かに疲労が見えた。 もしかして。 「私を待っていてくれたのですか?」 「……ぅえ!?っいや………っと…は、い」 恥ずかしそうにそっぽ向いたその顔が、その耳が、確かに赤らんでいることに気がついた。 その様子が大層愛らしく見えて、クスクスと笑みが零れる。 「なっ!……笑わないでください…」 赤い顔をさらに赤くさせながら立ち上がる様子に素直に謝り、席を立つ。 「ふふ…っ、すみません。では、帰りましょう、ね?」 「はーい」
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