「ーーー気がつかなかったのか、自分が笑っていた事にも」

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ちらりとお祖父様を見る。 相変わらずの厳しい表情だが、思うところは同じのようで、一つ頷かれた。 「では、お部屋へご案内いたします。雪兎様は、後ほどお泊まりになるお部屋へもお連れいたしますね」 これ以上周りが呑まれないように、次の段階へ移る。 ご当主様にはお祖父様が、ご子息様には父さんが。 俺はその後ろからついていき、並行して茶の用意。 「尊様。お手伝いを」 「ではこちらをお願いいたします」 俺を昨日出迎えてくれた執事にお祖父様と父様分の茶を預け、応接間へと急ぐ。 応接室につき、声をかけようとしたところ襖の先から声がした。 「真白様は明日から海外に?」 「あぁ。屋敷もメンテナンスが必要だしな。ちょうどいいから使用人にも暇を出した。その間、倅を頼む」 ということは、今菖蒲の屋敷は少数しかいないのか。 その間何かあっても行けないし、うちに預けるのは正解だろう。
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