「ーーー気がつかなかったのか、自分が笑っていた事にも」

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「…失礼いたします」 無駄な音を立てぬよう襖を開け、中に入る。 ちらりと部屋の中の全員から視線を向けられたが、すぐに逸らされた。 そのままお客様から順にお茶のセットをする。 本日は宇治玉露のお抹茶と、羊羹。 どちらも高級品で、舌が肥えた四家の方々用で、普段は飲めない代物だ。ありがたや。 配膳後、執事は退散し、俺は入室した襖の脇に座る。 話題は、学園生活の事になっていた。 「雪兎様は風紀委員長に着任されたと伺いました。私も風紀に所属していたので懐かしいです」 「そういえば、知らぬ間に裏でいろいろしていたな…」 ニコニコと笑う父様を見て、真白様が遠い目をしながら告げる。 2人はうちの学園の卒業生。 風紀の委員長副委員長コンビだったらしい。
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