「ーーー気がつかなかったのか、自分が笑っていた事にも」

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「今でもお2人を知っている生徒もいますよ。私も皆に助けられながら精進しております」 謙遜100%で受け答えた雪兎様に、全くこの人はと目を瞑る。 助ける暇なんぞ与えない完璧な仕事振りだと聞いてるぞ、こら。 それに対して少し恥ずかしそうに頬を染める父様。可愛いです。 「少し照れますね…。あ、うちの尊は図書委員長に就任したのですよ。雪兎様、何かあったら何なりと尊に申し付け下さいね」 どこまでも楽しそうな父様が、話題を俺へと変えた瞬間、視線が刺さった。 素知らぬふりで笑みを保ちながらも、返答次第で今後が変わってくるため、背筋が伸びる。 「まぁ、頃合いだな」 「そうですな」 静かに頷いた真白様とお祖父様。 どうやら俺の判断は間違いではなかったらしい。
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