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「では、本日はこちらでお休みくださいませ。何かございましたら私は隣の部屋におりますので、なんなりと」
すっかり空が赤らみ、シンプルだが質の良い調度品たちが飾る和室を照らす。
勝手知ったるというように、お寛ぎいただいた真白様がお帰りになり、お祖父様や父様とも別れた俺は、来客用の客間に今回の主人を案内していた。
「尊」
部屋の中に入る後ろ姿を眺め、自らも隣の自室へ戻ろうと声をかけると、硬い声に呼び止められた。
「はい?」
振り向くと、何かいいだけな顔が映る。
「みこと」
ゆっくりと甘えるように俺の名を呼ぶ声に、目元が緩むのを感じた。
本当に、この人は。
「ーーーあぁ、ゆき」
一歩。また一歩と近づいて。
ぽすり。
逞しい肩に額を乗せる。
そのまま広い手のひらに髪を撫でられる感覚に身を委ね、静かに目を閉じた。
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