「退屈だな」

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「お前、図書館に用事でもあったのか?」 生徒の追い出しが終わり、佐々木さんに挨拶した後。 2人並んで寮までの道を歩いている時、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。 佐々木さんは”たまたま来てくれた”と言っていたため、通りかかったところを捕まえたわけではないのだろう。 「…………」 ふと、棗が足を止める。 「どうした?」 側によって顔を見上げるも、棗はこちらの顔を見下ろして動かない。 「棗?」 黒髪が、風に靡きサラサラと揺れる。 ぼーっとそれを見ていると、夜空に溶けそうな黒髪の後ろで映える夜桜を捉えた。 そういえば今年の夜桜会、珍しく参加してたんだよな、こいつ。 毎年、美化委員と園芸部が協力して開かれる夜桜を見る会。 任意参加であるが、滅多に会えない人にも会えるとかで毎年規模を拡大しているらしい。 今年の夜桜会は結構カオスだった…。 だんだんと脱線していく思考の中、体温の低い、大きな手が頬に触れ、意識が戻った。 再度どうしたのだと、声をかけようとした、瞬間。
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