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薄紫の鮮やかな用紙には33という数字が印字されている。
「配られた用紙に書かれている数字の下一桁が組番号となります。なお、交換等防ぐため用紙の色は組分けには反映致しません。」
司会者の声が聞こえた瞬間、隣と番号確認をする者多数、色分けだと思い交換した事を嘆く者多数。
「棗」
「ん」
会場をぼんやりと観察しつつ、隣に声をかけるとぺらりと棗は抽選用紙をこちらに向けた。
薄緑の用紙の中央に、44と印字されている。
棗とは組がバラけたようだ。
無言で俺の用紙も見せて、お互い上手にサボろうなとアイコンタクトを交わす。
「それでは今から各組ごとに分かれて整列していただきます。モニターに表示された通りに着席してください」
各椅子に備え付けられたモニターを見ると、数字の書かれた座席表が表示されていた。
うわ、1番前じゃねえか…。
同じく最前列だったらしい隣の男の不機嫌そうな顔に全力で同意しつつ、ため息をつきながら立ち上がる。
「棗、少し落ち着くまで、どこかで休んでいましょう?」
「あぁ」
人混みを避け、講堂の端の壁に2人で寄りかかる。
チラチラと投げかけられる視線に笑みを返しながら、小声で棗に話しかけた。
「サボっていいかな」
「…サボれるもんならな」
「……だよなあ」
サボると後々面倒くさいと既に経験済みの俺たち。
今日はおとなしく耐えることにするか…。
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