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数分後
大多数が着席したのを確認し、俺たちも席につくことにした。
各組ごとに黄色い悲鳴が上がっていたので、執行部役員のバラけ具合もすぐわかる。
ゆっくりと進んでいると、棗の組の方からざわつく声が聞こえる。
もう席に着いたのか、早いなあいつ。
それよりもーーー
「え?緋扇様もしかして…」
「ウソ、うちの組?!」
「でも、うちの組にはあの方が…」
俺が通るたびにざわざわと騒ぐ声は、会場全体に広まっていく。
騒がしいなあ。
囁かれる言葉に不信感と一抹の不安を覚えつつ、自分の席にたどり着き、そして目を見開いた。
「………」
「………」
一番端。3番を引き当てたであろう男と、お互い目を丸くし見つめ合う。
それを見た周囲は、「やっぱりだ」「噂通りだ」と騒ぎ立てた。
噂ってなんだよ。
「……ごきげんよう」
「……あぁ」
ひとまず簡単な挨拶をして席に着く。
平静を装って座ったが、内心とうとう来てしまったか…という思いが大半を占めていた。
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