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「いやぁ、大変やなぁ緋扇ちゃん」
不意に、笑いを含んだ声が聞こえる。
声の主の方へ顔を向けると、ニヤニヤと笑う風紀副委員長の柏木の姿があった。
「柏木…同じ組だったんですね」
こいつのこの笑い方に嫌な予感しかしないが、争う理由もないため、あくまで愛想よく答える。
すると、その反応が気に食わなかったらしく、不満そうに口を尖らせた柏木がため息をついた。
「あーあ!せっかく面白いものがみれると思って仕掛けたんに」
椅子の背に寄りかかりながら足をゆらゆらと動かし、全身で不満をあらわにする様子にため息をつく。
「あなたの仕業ですか」
余計なことしやがってこのやろう。
体育祭をどう乗り越えるか、こちらは頭を痛めてるっていうのに。
しかし、これから訪れる面倒事に嫌気が差しつつも、その反対の気持ちも大きい。
…しっかりしろ、俺。
これからのことを考え、苦笑いを浮かべる俺をみて、満足したように笑う柏木を無性に殴りたくなった。
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