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「しょうがないやん。近づけちゃいかん暗黙の了解の2人が同じ組になったらどうなるか、見たかったんや」
悪びれもせず言う隣の男に殺意が芽生える。
殴ってもいいよな、うん、殴る。
「柏木?」
ニコニコと笑いながら拳を握る俺をみて、柏木は流石に焦ったのか大袈裟に平謝りしだした。
そしてひとしきり謝り、俺の拳が緩んだのをみて、ホッとした様子で小声で話し出す。
「本当はな、うちの委員長の息抜きになればと思ったんよ」
囁かれた言葉に目を見開いた。
息抜きになるって、それはーーーー
「何で仲悪い振りしとるんかは知らんけど、俺だって初等部からの付き合いや。あいつの事見とれば分かる」
あぁ、これは。
確実に気づかれてるな。
「……そうですか」
肯定も否定もしない俺の言葉に満足げに笑って、柏木は体を離した。
話は終わりらしく、前を向いて座り直す様子に倣い、俺も居住まいを正す。
頭の中では先ほどの柏木との会話が鮮明に思い出されていた。
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