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そこにはいつもと変わらぬ美しい彼の姿があった。
休日仕様なのか、耳元に斑模様の特徴的な花のピアスが揺れている。
珍しい、と内心思うが、それよりもその隣に見慣れぬ顔が一つあることの方が気になった。
高質な雰囲気。端正な顔。そして底が見えない闇色の瞳。
近寄り難い雰囲気の男は、美しい彼の隣で興味なさげに外を眺めている。
一見似ても似つかない二人だが、こうして二人並ぶと、纏っている空気が似ている気がした。
「おぅ、きたな」
「遅くなりました」
そんな自分の内情など知らぬとばかりに、淡々と話す二人。
こちらをみてニヤリと笑う主催者に、どうして彼がこの場にいるのかがわかった。
十中八九、彼が呼んだのだろう。
「さあ、中へ」
導かれるまま隣同士が開いた席に自分と、一緒に来た男が座る。
先程空いていた一席には、美しい彼のエスコートで近寄り難い雰囲気の男が腰掛けていた。
椅子を引くほどの尽くしぶりに部屋にいた全員の視線が集まる。
その視線を気にもせず、美しい彼は上座に歩み寄り今回の主催者の傍に立った。
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