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人通りの少ない廊下を歩き、担任のいるという第1準備室に向かう。
「失礼しま………した」
ノックを三回。
ガチャリとドアを開けて、見えた光景に一瞬固まり、無意識に扉を閉めた。
朝から嫌な予感はしていたのだ。
よし、逃げよう。
静かに目を閉じ、この部屋から一番遠くへ向かえるルートへと足を踏み出した。
「どこに行くのかな?尊」
後ろから、知った声がして、ピタリと足を止める。
やばい、見つかったか。
ギギギと、音がなっているかの如く顔をそちらに向ける。
見えた美しい顔はニコニコと微笑んでいるが、目が笑っていない分大変恐ろしい。
「ご機嫌麗しゅう、一ノ瀬先輩。少し急用を思い出しましたので、ご挨拶はまたの機会にさせてくださいませ。それでは」
ニコニコと笑顔を作り、一気にその場を離れた。
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