「あと、2年」

6/46

1279人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
暖かい感触と懐かしい香りに包まれる夢を見た。 その夢では、ゆらゆらと揺れる心地よい感覚が続く。 何か、安心する……。 朧げな意識の中で、目の前の人物を思い描く。 学園内であることを考えると、深い関わりを持つことがありえない人物。 夢の中でまで、求めてしまう人。 しばらくゆらゆらと心地よい振動が続き、最後に額と頬に柔らかいものが触れた気がして、目を開けた。 「………お?」 夢から覚めた時、俺は何故か保健室のベッドで寝ていた。 無意識に、何度か瞬きを繰り返す。 状況がつかめない。 何で俺、ここにいるの? 「よう、オヒメサマ。お目覚めか?」 状況を把握しようと頭をひねっていた時、カーテンの向こうから声が聞こえた。 声の持ち主は、カーテンを開くとこちらに近寄ってくる。 その人物の顔を見て、俺は盛大に顔をしかめた。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1279人が本棚に入れています
本棚に追加