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その後、連れていかれたのは先ほどの第1準備室ではなく、講堂横の控え室だった。
簡易キッチンに、冷蔵庫、テレビ、大人数が座れるソファ。
軽くワンルームの部屋くらいの設備がある控え室。
その部屋にいるのは十数人の男たち。
生徒会、風紀委員会、各委員会委員長。
これらをまとめて、この学園では『執行部』と呼んでいる。
目の前の煌びやかな光景に軽くため息をつき、短く挨拶する。
「こんにちは」
「重役出勤かあ?しかも王子様付きかよ」
「俺は逃げ切れるにかけたのだがな!」
帰ってくるからかい混じりの返答に適当に返しながら、引きずられるようにソファに座らされた。
そしてそのまま隣に座り、回した腕を離さない王子様のような人を見る。
「先輩、ここまできたらもう逃げられませんよ。離してくださいな」
回された腕を軽く叩き、離して欲しいアピール。
ここまできたら半分諦めの境地だ。
よほどの隙がない限り、逃げ出すのは難しい。
「いや、お前はすぐ何処かに行くからね。首輪でもつけるかい?」
爽やかな笑顔でそう言われ、冷や汗が止まらない。
この人ならやりかねない。こわい。
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