「あと、2年」

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♢♢♢outside 立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。 本来は女性に使う言葉だが、ステージ上で優雅に微笑む彼の人を表現するのにこれほどしっくり来るものはない。 高いところで結い上げられた濡羽色の髪。同じ色合いの大きな瞳。 いつも嫋やかに微笑んではいるが、どこか浮世離れした人という印象が強い。 それは、滅多に表に顔を見せない人だからか、本人の持つ雰囲気なのか。 答えはきっと両方であろう。 「緋扇様…」 「よかった、やっぱり執行部からは抜けられてなかったんだよ!」 「はぁ……っ、なんてお麗しい」 執行部に所属する役員は、その姿を現わすだけで生徒に影響を与える。 些細なことで歓喜され、崇拝され、勘ぐられ、失望される。 全校生徒に選ばれ、常に頂点に立ち続ける方々。 それが執行部という組織である。 その中のお一人。 初等部から変わらず、役員を務めていらっしゃる美しい人。 元々が教室以外は滅多に人前に現れず、お姿を拝見する機会が少ない。 そんなお方の単体での挨拶が聞けることの何と幸運なことか。 「まずは新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。今期、図書委員長を拝命いたしました、緋扇 尊と申します。どうぞよしなにお付き合いください」 その口から、声が漏れる。 それだけで、周囲はさざめき、歓喜する。 挨拶自体は短いものではあったが、周囲の生徒たちは感極まったかのように、次のアナウンスがなるまでステージを見つめていた。 ♢♢♢♢
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