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そっと横に並ぶ他の面々の顔色を見るも、知っていたかのように平然としている。
……知らなかったのは俺だけかよ。
恭介が先ほど囁いていた"お前が悪い"の言葉の意味が、この事もさしていたことにようやく気がつく。
今回はまんまと罠にはめられたな。
肩の力をゆるく抜き、目を伏せる。
いくら許容できる範囲とは言っても、対外的に見てオッケーだったら叶えなくてはいけない雰囲気になるはずだ。
見つける奴がどんな性格かわからないだけに、少し憂鬱だ。
しかし、その気分を打破させるような言葉が耳に入る。
「なお、執行部の名前入り宝箱は、該当の役員自ら隠すこととする。ヒントは直接聞くように」
ということは。
見つからない場所に隠してしまえばいいのか。
頭の中で1つの場所を思い描く。
ごく少数のものしか訪れず、あまり知られていない場所。
そういえばしばらく行ってないな。
下見がてら、これが終わったら行ってみるか。
決意新たに、少しだけ背筋を伸ばす。
そこからはこれからの予定を組み立てながら、ただ生徒たちの様子を眺め、式が終わるのを待つのだった。
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