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あの後、式が終了し教室に戻る生徒に紛れて外に出た。
授業中ということもあり、誰もいない中庭を通り抜け目当ての場所に向かう。
「ったく、ひどい目にあったぜ」
朝からだまし討ちされ、走らされ、からかわれ、散々だ。
疲労感を散らすように、景色を見ながらゆっくりと歩く。
「ん?」
目の前の建物に人影が見え、歩みを止める。
“如月学園 第二図書館”
普段生徒達が利用している第一図書館から、20分ほど離れた場所。
学園の敷地のさらに奥。深い木々を抜けた先。
第一図書館よりも古めいた建物。
立ち入りが許されているのは、図書委員長が許可を出し専用のパスを持つ限られた生徒と、事前に申請し許可が出た生徒。
この時間にこんなところにいるのは、前者。おそらくパスを持っている生徒だろう。
「一応、確認しておくか」
専用パスを持っている生徒は、執行部の生徒、前図書委員長の知り合い、人気上位者、そして。
「…っ!緋扇様」
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