「あと、2年」

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♢ 広大な敷地を誇る学園の最北端。 森と言う表現が合うほど木々が生い茂り、人の侵入を拒むかのように奥には暗い闇が潜む。 そんな森の中を、確かな目的をもって歩く。 何度か来たことがあるといえど、上下左右とも景色が変わらない中歩くのは正直つらい。 ひとりでも迷うのだからと、旅は道連れ精神で棗を誘ったのである。 「久しぶりだな」 「相変わらず、此処だけ空気違うな」 そうして少し歩き、見えてきた場所に2人して声を上げた。 全面ガラス張りの建物。 建物の周りだけ木が切り倒され、日の光が差し込みガラスに反射してキラキラと輝く。 さきほど通ってきた陰湿なくらい場から一転。 此処は空気が澄んでいるように感じた。 歩み寄り戸を開けると、暖かい空気が頬を撫ぜる。 「おぉ……」
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