「あと、2年」

25/46

1281人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
まず目に入ったのは、一面の青。 ニゲラ、ヒヤシンス、デルフィニウム、桔梗、アネモネ。 他にも様々な種類の青い花が種類ごとに、所狭しと並ぶ様は圧巻の一言だ。 青い花ばかりなのに冷たく思わないのは、差し込む日差しと白い噴水、白いベンチと明るい色も多いためだろう。 2人してベンチに腰掛け、花を眺めているとここに来た目的を尋ねられた。 「そういえば、下見って何だったんだ?」 「ん?お前も式に出てたし、知ってるだろ。新歓のこと」 考えるように手を口元にもっていき、視線を逸らす様子を見つめる。 そうして何か思い至ったように、棗が口を開いた。 「確か宝探しって…あぁ、お前の宝箱はここに隠すのか。まあここに来る奴なんてそうそういないからな。」 そう、この場所。通称”青の宮”。 何代か前の卒業生が戯れに作った、青い花だけが咲き誇る温室。 この学園には、他にも”赤の宮”と”黄の宮”の温室がそれぞれ東と西に存在する。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1281人が本棚に入れています
本棚に追加