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まず目に入ったのは、一面の青。
ニゲラ、ヒヤシンス、デルフィニウム、桔梗、アネモネ。
他にも様々な種類の青い花が種類ごとに、所狭しと並ぶ様は圧巻の一言だ。
青い花ばかりなのに冷たく思わないのは、差し込む日差しと白い噴水、白いベンチと明るい色も多いためだろう。
2人してベンチに腰掛け、花を眺めているとここに来た目的を尋ねられた。
「そういえば、下見って何だったんだ?」
「ん?お前も式に出てたし、知ってるだろ。新歓のこと」
考えるように手を口元にもっていき、視線を逸らす様子を見つめる。
そうして何か思い至ったように、棗が口を開いた。
「確か宝探しって…あぁ、お前の宝箱はここに隠すのか。まあここに来る奴なんてそうそういないからな。」
そう、この場所。通称”青の宮”。
何代か前の卒業生が戯れに作った、青い花だけが咲き誇る温室。
この学園には、他にも”赤の宮”と”黄の宮”の温室がそれぞれ東と西に存在する。
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