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リビングの戸を開けると、すでに朝食の支度は済んでいるようだった。
相変わらず、手際がいい男だ。
「棗、おはよう」
「おはよう、さっさと席につけ」
「はあい」
食卓に並んでいたのは、ご飯、味噌汁、鮭の塩焼き、ほうれん草のおひたし。
今日も美味しそう。
「お嫁にほしい」
「逆だろ」
思わず漏れた声に、小さく返される。
相変わらず、表情は変わらないが、不機嫌ではないっぽい。
少しの間、端正な顔を眺めていたが、早く食べろと言わんばかりの睨みが返って来たため、ゆっくりと食事を再開する。
「そういえば、昨日の入学式、棗出席した?」
「………サボった」
やっぱりこいつもサボったか。
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