「あと、2年」

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「お前、俺に叶えてほしい願いなんてあるのかよ」 驚きで乾いた喉から出た声は掠れていた。 棗はじっと前を見据えたまま、こちらに視線を向けない。 しかし真横から見えた、髪に隠れたその耳が赤らんでいるのを見つけてしまって。 普段見せないその姿に、なんでか笑みが漏れた。 「ふふっ……じゃあ、お願いするかな。でもそれだけじゃ面白くねぇし…。うん、じゃあ隠し場所のヒントは"あなたを信じて待つ"って事で」 それは調べようとしなければ分からないもの。 1つ1つのその青に意味をもたせるもの。 この男がその言葉の意味を調べる姿は心底愉快だろう。 僅かに眉を寄せ、悩んでいる様子の棗が何だか可笑しくてクスクス笑いながら、その肩に頬を寄せる。 「なんだよ」 「ここ、温いせいかすっげえねむ、い。かたかして」 身を寄せた先からは、じんわりと温かな体温。 一呼吸毎に香る、柑橘系の香り。 瞬きをするたびに重くなっていく瞼に逆らわず、目を閉じる。 「おやすみ、尊」 意識が闇に沈む前、珍しい程に優しい声でそう囁く声がした。
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