「あと、2年」

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♢ 賑やかな中庭。 人が入り乱れる校舎。 活気溢れる生徒たち。 「元気だなあ」 を、特別教室棟の屋上から見下ろしてため息を1つ。 「東雲様!!」 「一ノ瀬様!ヒントを下さいっ」 戯れに視線を巡らせていると、大きな人だかりが目に入った。 普段は人が少なく、穴場になっているその場所に一息つきに来たのだろう執行部の先輩方が早速捕まっている様子を、うわぁ…と思いながら眺める。 俺もついさっき同じように取り囲まれてからは、人気のないこの場所に避難していた。 「あー…いい天気だ」 先ほどの熱気と迫力を思い出し、現実逃避のように空を見上げる。 本日は晴天なり。 絶好の新入生歓迎会日和です。 「緋扇様…っその、ヒントをいただけますか?」 遠慮がちに戸が開かれ、振り向くと何人かの生徒たちがこちらを見ていた。 良かった…。ガッツのある生徒たちじゃなさそう。 一定の距離を保って待ってくれている様子にホッとしつつ、外行き用の笑みを浮かべて近づいた。 「お望みのものは、なんでしょう?」 柔らかく返すと、生徒たちも緊張が解けたように肩の力を抜く。 「あの…緋扇様の宝箱は、どちらにありますか」 相変わらず遠慮がちに聞いてくる生徒たちに、再び笑みをこぼしながら口を開いた。
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