「あと、2年」

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♢ 「ーー以上の宝箱を引き当てた生徒は、後日教室で賞品を受け渡します。続いてはーーー」 一人一人読み上げられる名前に、生徒たちの雰囲気がコロコロ変わるのをぼんやり眺める。 放送が流れてから30分以内には全校生徒が講堂に集まり、賞品の発表を今か今かと心待ちにしていた。 今回は時間がかかりすぎるため、執行部の宝箱以外は後日教室での受け渡しとなる様だ。 「続きまして、執行部の皆様からの賞品授与に移ります。中央委員長 東雲様の宝箱を引き上てた生徒は3年S組 小松 旭君」 引き当てた生徒の名前が呼ばれた瞬間、歓声をあげる生徒たち。 その人物がステージに上がってきて気がつく。 あの人、先輩の親衛隊隊長だ。 華やかな顔立ちの小柄な隊長さん。 東雲先輩が俺みたいにズルするとは考えにくいし、相当頑張ったんだろうな。 「それでは、東雲様へのお願い事をどうぞ!」 放送部の司会にマイクを渡され、少し頬を赤く染めた隊長さんが口を開く。 「今度の日曜日!我々親衛隊のお茶会に是非参加してはいただけないでしょうか!」 子犬の様に震えながら力の限り言った言葉に、下から隊長!よく言った!と声援が響く。 珍しく少し驚いた顔をしていた東雲先輩は、それでも変わらぬ爽やかな笑顔を浮かべた。 「頑張ったな、旭。もちろん、参加させてもらう」 その瞬間沸き起こる歓声に備え、さりげなく耳を抑えた。 それでも聞こえてくる声に、さすがの人気だと一人頷く。 隊長さんは、泣きながら席に戻り、周囲に讃えられていた。
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