「あと、2年」

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「続きまして、美化委員長の一ノ瀬様の宝箱を引き当てた生徒は、2年C組 斎藤 優希君」 次にステージに登ってきたのは、ガタイの生徒。 先ほどの隊長さんとは真逆。 男らしい声援がいくつも鳴り響いていた。 「それでは、願い事をどうぞ!」 手渡されたマイクを力強く握り、運動部らしく声を張り上げる。 キンと音が割れる音がして、皆一様に耳を塞いだ。 「我々柔道部の試合が、5月に行われるため、試合の応援に来ていただけないでしょうか!」 お前マイクの意味わかってるのかと言いたくなる様な叫び声がこだまする。 耳に響く音量は、先ほどの歓声の比ではない。 運動部ハンパない。 「わ、わかったよ、見学には皆で伺うことにします。あと、少し音量を落としてくれると嬉しいな」 一番近くであの音量を聞いた先輩の顔。 すごい、引き攣ってる。 滅多に見られないレアな表情に、何度か瞬きを繰り返した。 「それはすみません!ありがとうございます!」 先ほどよりだいぶん声量が減った声が帰ってくる。 しかし、生徒が礼を言った途端、またすごく大きな野郎どもの歓声が響き渡った。 「……うるさいな」 歓声にかき消される程度に小さな呟きが隣から1つ。 表情は穏やかなのに、腹の底から絞り出した様なひっくい声が聞こえたのはどうやら俺だけだったらしい。 こっわ。 サッと一ノ瀬先輩から視線を逸らし、誤魔化す様に笑った俺の顔は、多分盛大に引き攣っているだろう。
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