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「さて、次に図書委員長、緋扇様の宝箱を引き当てた生徒は…おぉ!なぜ執行部に入らないのかともはや七不思議の1つといっても過言ではない方。文月 棗様です!」
一瞬の静寂。
それが声援によって破られるのと、俺が耐えきれず吹き出すのは同時だった。
なにあいつ、七不思議になってたのか!
というかこの学校に七不思議なんて存在したんだ。
そして心底嫌そうに顔を歪めステージに登ってくる棗の様子もさらに笑いを助長させた。
「ふっ……ふふ…お、おめでとうございます…っ」
「…あほ」
ふるふる震えながら笑いを噛み殺しお祝いの言葉を送ると、呆れきった顔をしながら柔く額を小突かれた。
そうしてなんとか落ち着き、笑いにより流れた生理的な涙を拭って気がつく。
あれ、なんでこんなに静かなんだろう。
思わず周囲を見渡すと、役員は驚いた様にこちらを凝視し、生徒たちはキラキラした目で見てくる。
「えっと……?」
司会の放送部員に困った様な視線を送ると、ハッと我に帰った様子で急いでマイクを手にこちらに駆け寄ってきた。
「いやぁ!さすが初等部からずっと同室のお二人。二人の世界という感じでついつい見とれてしまいました!」
なんだそれ。
あまりにもいつものやりとりすぎて、どこがそうなのか全然わからない。
しかし、こちらに突き刺さる役員たちの視線や、小さくきゃあきゃあ言っている生徒たちの様子を見ると、どうやらこの距離感?空気?はおかしいらしい。
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