「あと、2年」

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低く、少し掠れた声が鼓膜を震わせる。 声とともに僅かな吐息が耳朶をくすぐり、びくりと肩が揺れた。 なにを。なんで。どうした。 頭が回らない。 どうしてこうなった。 ゆっくりと離れていく棗の顔を呆然と見上げる。 距離が開くことで、だんだんと広がっていく視界と音。 悲鳴にも似た生徒たちの声が、遠くで聞こえた。 先ほどよりも声量を増したそれは、耳が痛くなるもののはずなのに。 それよりも、先ほどの声が耳に焼きついて離れない。 耳が、顔が、どこもかしこも、熱い。 「っ……」 不意打ちにもほどがあるそれに動揺していることも、きっと赤くなっている顔を見られるのも恥ずかしい。 そうして羞恥心の中に、罪悪感があるのも確かに感じていて。 どうしようもない気持ちを、悟られまいと、見られまいと、顔をうつむかせる。
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