「退屈だな」

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「え?…うそ見て!緋扇様だよ…っ」 「なんでこんな生徒の多い時間に…僕達ラッキーだね!」 「でも、昨日の式にご出席されてなかったようだけど、まさか…」 「今日も文月様とご一緒なのですね、ありがとうございます」 歩きなれた桜並木を、同室の男と並んで歩く。 いつもより少し早めの時間だからか、他の生徒たちも登校中の時間に当たってしまったようだった。 顔を見なくても、隣の男が不機嫌なのがわかる。 「時間、もう少しゆっくりが良かったな」 「ん」 うるさいのは嫌いだと公言しているからか、抑えめの声ではあるが、聞こえるものは聞こえる。 というか、なんで最後お礼言われたんだ。 小さくため息をつき、遠目に見ても金がかかっている校舎を見上げた。 如月学園。この学園の特色は大きく分けると4つある。 まず一に、全寮制の男子校であること。 二に、初等部から高等部までの持ち上がり式であること。 三に、この学園に通う生徒はほぼどこかしらのいい所の出であること。 四に、生徒会、風紀委員会、各委員会委員長からなる生徒会執行部が絶対的な力を持っていることだ。 全寮制のという閉鎖的な空間故、外部との接触もわずかしかない。そんな中、健全な青少年の恋愛対象が同性に向いてしまうのも、もう仕方がないことなのだろう。 そう、つまるところこの学園は同性愛者が多いのだ。
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