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珍しく自分1人しかいない図書館でぼやく声は、思いの外よく響いた。
そのままぼんやりと外を見ていると。
チリンという扉の開閉音とともに、複数の足音。
モニターに表示される、5人の名前。
表示された名前を見て、目を細める。
退屈な時間は終わりを告げたようだ。
「みこちゃーん!こんにちは!」
「みこちゃーん!元気ですか!」
パタパタとこちらに走り寄る足音とともに、見事なシンクロ率の声が重なった。
椅子から立ち上がり、声の主を見下ろす。
自分より幾分か低い身長。
キラキラと輝く瞳。
限りなく同じ顔。
「はい、こんにちは。遥、奏。今日も元気があってよろしいですね」
溢れんばかりのキラキラに返すように、こちらも笑みを浮かべる。
そうすると、さらに頬を染めてにっこり笑うのだから、大変可愛らしい。
「珍しいですね、皆さんお揃いで」
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