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「尊、できたぞ」
そうこうしている間に、髪は結い終わったらしく、櫛を片手に、誠が鏡を差し出してくる。
いつもと同じ位置で揺れる紐は色鮮やかで、動くたびに控えめに鳴る鈴の音が心地よい。
「みこちゃんきれいだね〜」
「え!?あ、ほんと!みこちゃん可愛い」
「みこちゃん似合ってる!」
さっきまで追いかけっこをしていた年下三人衆のべた褒めに笑みを返し、先ほどの件について尋ねてみた。
「先ほどの新歓のやり取りですが……何か変なことでもしていましたか?」
今回もらったプレゼントとの新歓の時の共通点は、棗が攫っていったあの結い紐だが。
それがこの双子にどういう影響を及ぼしたかがさっぱりわからん。
「「だって」」
しばらく経ってやっと帰ってきた返事は、やけに真剣な声色だった。
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