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急に真剣な面持ちになった双子に、それほどまでに変なことをしてしまったかと、こちらも背筋を伸ばす。
「だって、前の赤いのは」
「文月センパイに攫われちゃったでしょ?」
一言一言迷うように、しかし何かに気づいて欲しそうに紡がれた言葉を反芻する。
確かに、前の赤い結い紐は攫われていったため、今は昔使っていた青の結い紐を使っていた。
付け替えるために外した青い結い紐を見下ろす。
前使っていた赤い結い紐も、中等部から使っていたものだが、こちらは初等部から使っていたものだ。
あの日さらわれてしまったものの代わりに、掘り起こしたんだよなぁ。
「「やっぱりみこちゃんは赤が似合うもんね!」」
どうやら、青い結い紐を使っていることに気づき、新しいものを用意してくれたらしい。
「……ありがとうございます。ではこれからは、こちらを使うことにしますね」
小さな二対の鈴に触れ、チリンと鳴らす。
小さく微笑むと、双子も返すように笑ってくれた。
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