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昨日。昨日といえば。
「俺は絶対入学式には来いって言ったよな?」
こちらも相手も終始にこやかだ。
しかし、相手の後ろには般若が見える。
「そんなこと、言ってましたか?すみません、最近よく記憶が飛んでしまって…」
「お前それは病院行け」
すごい失礼なこと言われたんだが。
この男の発言に、外面MAXの笑顔が凍るのがわかった。
「ひどいです、わざとじゃありませんでしたのに」
「ほぅ?俺はお前のせいであの人たちから文句言われたが」
「良かったじゃないですか、先輩後輩のコミュニケーションは大切ですよ」
「あの人たちは、お前の方こそコミュニケーションをはかりたかっただろうに」
そうは言っても、俺の性格をすべて知った上で、そんな面倒くさい事を押し付けてくるなんて、反抗しないやつがどこにいる。
卒業してからはともかく、学生のときくらい自由に過ごしたいものだ。
「とにかく、お前には新歓のときにでも挨拶してもらうからな」
「えぇぇ……」
「反論は受け付けない。俺は言ったからな」
そう言い残し、さっさと自分の席に戻っていく男の背中を眺める。
「はいはい………生徒会長様の仰せのままに」
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