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副委員長に望まれているという話をしても、結局嫌いな人間とはやりたくないだろうと直球で尋ねてみた質問の答えは一向に返ってこなかった。
「朝比奈くん…?」
やはり直球過ぎたのか。
もう少しオブラート的なものに包み込んだほうがよかっただろうか。
小さく後悔しながら、外を見つめていた視線を隣に移すと、不自然に固まった朝比奈がそこにいた。
その表情からは、何も読み取れない。
まるで色々な感情が抜け落ちたような。
「……して」
やっと小さく動いた口元から呟かれた声はとても小さい。
無意識に、聞き取ろうと体を寄せる。
「どうして、どうしてそんなこと…」
続く言葉はその形の整った唇の中にしまいこまれた。
そのまま憂わしげに、視線を足元に落とす。
続く言葉は、どうしてそんなこと聞くのか、だろうか。
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