「あなたの笑顔が曇らぬように」

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♢♢♢side A 本を読むのは嫌いではない。 その世界に入り込んだ先に待っているものを知っているから。 図書委員の仕事も嫌いではない。 委員はおとなしめの奴らばかりでうるさくないし、何より図書館という場所は静かだ。 静かな世界は心地よい。 それに。 この場所にいれば、アノヒトと、少しでも近くに。 僅かな欲と、純粋な責任感からここでの仕事は自然と真面目に行えていた。 友人たちは珍しいと笑ったが、そんなことは自分が一番わかっている。 前の自分は、ここまで真面目に打ち込むものがあっただろうか。 こんなにもいきいきとしていただろうか。
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