22人が本棚に入れています
本棚に追加
シェルターは、ドーム型で飛行機一機が収納できるほどの広さがあり、俺は図面データを使いながらロボット操作をして作業をしていると、いつも笑顔でアイラはサンドイッチを作ってくれた。
「お疲れ様。ご飯にしましょう」
いつも笑顔で接してくれるアイラ。大量の備蓄品で何とか食いつないでいたがそれもいつかは無くなる。
「ロケットの方は順調? 」
「ああ‥ 」
「早く地球に行きたいね」
「そうだな」
俺達は移住先の地球への旅を夢見ながら希望を見いだしていた。
何でも地球は俺達が住んでいた惑星に似ており、「始祖の星」だと言う。宇宙開拓が進んだ祖先がこの星に移住を行い新たなる文明を築いたそうだ。そんな昔話を良く子守歌のように聞かせてくれていた
だかこの日は食が進まない。空腹で腹の虫が鳴るのにだ。だがそれには理由があった。俺は一口だけ角をかじった食べかけのサンドイッチをそっと置くとあることを告げた。
「実は、さっき地表データを出したんだが、あと一月でこの星は爆発する」
正直、完成はぎりぎりだった。最悪のことを想定して全てを打ち明けた。一瞬時が止まりアイラは俯きながら呟いた。
「でもレノが一緒に居てくれれば怖くないよ」
「ア、アイラ‥ 」
アイラは笑顔でそう言ってくれた。でも彼女の手は小刻みに震えていた。正直俺も怖い。だがアイラはいつも心配をかけまいと気丈に振る舞ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!