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「遅れてごめんっ!! 間に合った!?」
「はい、大丈夫ですよ。面会時間あと五分ありますから。部活もあるのに、わざわざ来てくれてありがとうございます」
学ランのまま息を切らして飛び込んできた演劇部の先輩にそう声をかけると、先輩は面白いくらいに口をパクパクさせて慌てはじめた。
「えっ!? あと五分!? うああ、どうしよ、あの……」
大げさに慌てはじめた先輩をつい冷めた目で見てしまう自分がいるけど、まあ明日手術の人に何言っていいのか分からないですよね。
私は小さな頃から身体が弱く、何回も手術を繰り返して、ギリギリ生き伸びてきた。学校も休んだりいったりしながらどうにか通ってたけど、ついに大きな手術を受けないといつ死ぬか分からない状態になり、二週間前から入院している。
明日受ける手術が成功すれば、またしばらくは学校に通えることになるらしいけど、成功率は5%らしくて、正直絶体絶命って感じですよね。
「とりあえず、これ見てください」
「え、わ、わかった」
何を言おうか必死に考えているところ申し訳ないけど、わざわざ段階踏んで話すのも面倒くさかったので、この二週間書き溜めていたノートを押しつける。
先輩は戸惑いながらもそれを受け取り、最初のページから目を通し始めた。
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