著作権、私にありますから

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「だから、手術の前に会いたくなったんですよ。私、先輩のこと好きです」 「え、え、えええええっ!??」 好きですと伝えた途端に、先輩の顔が林檎みたいに真っ赤になる。あ〜あ、こんなに照れられたら、私が恥ずかしがれないじゃないですか。 これでも、勇気ふりしぼって言ったんですよ? 「本田さん、そろそろ面会時間終了だから……」 先輩が考え込んだり真っ赤になったり一人で百面相しているうちに、ドアの向こうから申し訳なさそうな看護師さんの声が聞こえてきた。 「あ、もう五分経ったみたいですね。 迷惑になるので、先輩さっさと帰ってください」 「え、いや、え? さっきのは……」 「さっき言ったこと? 全部本気ですよ? 私が死んでも、著作権は私にあるので勝手に公開しないでくださいね。著作権は放棄しませんが、私の最後の作品になるかもしれないので、先輩に見てほしかったんですよ。最初の読者に感動してもらえて嬉しかったです。 じゃあ、もし私が生きてたらまた学校で。それと、告白の返事考えておいてくださいね。私が生きてたらでいいので」 さっきが何を指しているのか分からないので、早口で一気にまくしたてると、先輩が何か言う前に看護師さんに部屋の外に連れ出されていた。 やっぱり五分じゃ短すぎましたね。 でも、何時間あっても先輩はすぐに答えを出せなさそうだし、それに付き合うのも面倒なんで、五分でちょうどよかったのかも。 先輩がどんな答えを出すのか楽しみですよ。 もし私が生きてたら、答えを聞かせてくださいね、先輩。
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