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ダサい系ハッピーエンド
「ちょっと!お母さん!」
「みーちゃん、なんで怒ってるの?」
中学生の娘・美帆が何やら黒いものをつまんでいる。
旦那の靴下だ。使用済みのえげつないやつ…
「私の部屋の前に落ちてたのよ!信じられない!」憤慨する娘から「はいはい」と靴下を貰う。思春期の娘なんてどこも同じだろう。
怒り狂う娘の後ろから気の抜けた声が聞こえてきた。
「優樹菜ぁ、パンツ忘れちゃったけどその辺にない?」
「サイテー!」
「恭ちゃん、靴下落としていったでしょ?みーちゃんの部屋の前に落ちてたから、みーちゃん怒ってるわよ」
「えぇ!みーちゃんごめんね…」
脱衣所で凹む父親。なかなか笑える。みーちゃんのこと大好きだもんな。
「パパは顔はいいのになんでそんなダサいの!もっとちゃんとしてよ!」
「あれがパパのいい所なんだけどね」
「パンツ忘れたり、使用済みの靴下を落としてくるのはいい所じゃないでしょ!お母さんはパパに甘すぎるわよ!」
うーむ、思春期の娘は難しいな…
「康平もあんなにならなきゃいいけど」二つ下の弟の心配までしている。娘は強い。
「だいたいお母さんはなんでパパと結婚しようと思ったわけ?顔?」
「そうねー…」
なんと答えれば良いのか分からず考え込んでしまう。
「ダサいところかな?」
「えぇー…何それ、趣味悪ぅ…」私の答えにドン引きの娘。
私がなにか言おうとしたら、脱衣所からダサい男の声が聞こえた。
「優樹菜ぁ、僕のパンツちょうだい」
「はいはーい、ちょっと待ってね」そう返事して、私は自分に似合いのダサい王子様にパンツをお届けするのだった。
Fin
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