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紅茶を味わうために
「え?本当ですか??」
紗恵は桂に詰め寄っている。
「ああ、本当だ」
「本当の本当にエゲレスのお茶を手に入れたのですか?」
「だから本当だと言っている」
「私にも飲ませてください!!」
「もとよりそのつもりだ」
桂がどんなルートを使ったのかは分からないが、確かにイギリスのお茶、つまり紅茶を手に入れたらしい。
イギリスに留学していた紗恵にとってはとても馴染みのあるもの。
そして、幕末において何より「未来らしい」ものだ。
(まさか、この幕末で紅茶を飲める日が来るとは…!ああ心が踊る~)
「桂さん、大好きです!!」
紗恵はついうっかり桂に告白してしまった。
もちろん恋愛的な意味ではないのだが。
「は?紗恵っ!君には俺というものがありながら…」
当然、夫である稔麿は怒る。
「これは困ったなぁ。私には幾松という愛しい恋人がいるんだが。でも紗恵さんがどうしてもと言うのなら考えなくも…」
桂はわざとらしく困り顔を浮かべている。
「考えなくて結構です!私には稔磨さんだけですから」
稔麿は安堵した。
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