紅茶を味わうために

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紗恵は材料を買い揃えつつ、小物屋に寄ったりしてショッピングを楽しむことにした。 実は最近、必要外で街に出ていなかったのだ。 (よし、イングリッシュスコーンを作ろう。かまどを上手く使えば、なんとかオーブンにできるかもしれない。クロテッドクリームはないから、ジャムだけで食べよう。それでも充分美味しい) 「紗恵、なにを作るの?」 「スコーンっていうお菓子を作ろうと思います」 「それはどんなお菓子?」 「食べるときのお楽しみです!」 紗恵はショッピングを満喫し、材料も充分買い揃えることができた。 バターは菜種油で代用、牛乳や卵は手に入ったので何とか作れそうだ。 ジャムにはビワ。苺は旬ではないし、ブルーベリーは見つけられなかった。 ビワのジャムもなかなか美味しいのだ。 何より日本人の味覚に合う。 自宅に戻ると、かまどをオーブンに改造した。 といっても、再びかまどとして使えなくなるのは困るので、1回きりの簡易的なものであるが。 まずはスコーン作りだ。 鍋に材料を入れ、しっかり混ぜる。 まな板に生地を広げ、伸ばして2枚に重ね、再び伸ばしてから丸型でくり抜けば生地は完成だ。 あとは天板に並べて焼くだけ。 途中何度か火加減を調節し、ふっくらと焼けたところで取り出し、冷ましてから重箱に入れる。
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