紅茶を味わうために

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「この2つの茶は何が違うの?」 稔麿が問うた。 「こっちはアールグレイ、そっちはセイロンというお茶です。味はぜひ飲み比べてください」 そう聞いて恐る恐るといった風に湯呑みを口に運んだ。 「アールグレイとやらは香り高いな。セイロンは…ほんのりと蜜柑のような香りがする」 「その通りです!よく気付きましたね。セイロンの特徴は柑橘の香りなんです」 「エゲレスの茶は渋いな…」 桂は眉をひそめている。 「そうですね。飲み慣れていないとそう感じるかもしれません。なのでぜひスコーンと一緒に」 桂はジャムをつけたスコーンを食べた。 「なるほど。確かに渋みがまろやかになった」 「お茶に砂糖を入れるのもオススメですよ。今日はできませんが牛乳を入れて飲むことも一般的です」 「ほぅ、いろいろと工夫があるんだな」 「そうなんです。私は何も入れずこのまま飲むのが好きですけどね」 「紗恵ちゃん、お砂糖はどんくらい入れるん?」 「幾松さんのお好きな量でいいですけど…、とりあえず匙に1杯を入れて飲んでみてください」 幾松は湯呑みに砂糖を入れて上品な仕草で口元へ運ぶ。 「甘ぅて美味しいなぁ。後でスコーンとビワの砂糖煮の作り方教えてな」 「ええ、喜んで」
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