紅茶を味わうために

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「紗恵ちゃんは吉田はんとどう知り合ったん?」 いつの時代の女子も大好き、恋バナが振られた。 「初めて会ったのは、桂さんにさかや…」 (月代を剃られそうになって、助けてもらったとき) 「紗恵さん!」 全部は言えなかった。 桂が遮ったからだ。 「小五郎はん、どうしたん?」 「いや…。紗恵さんは私を頼って上京してきて、活動に加わったんだ。そこで稔麿に出会った。だよな?紗恵さん」 紗恵は桂の眼力に負けて頷いた。 つられて稔麿も頷いている。 「そうやったんね。そういや、紗恵ちゃんは小五郎はんの親戚やて聞いとったわ」 (そういえばそういう設定だったわ) 「ええ。そして一緒に活動をしていくうちに好きになりました。4月に稔磨さんが妻になってほしいと言ってくれて、私は稔磨さんの妻になったんです」 紗恵の隣では稔麿が照れたように笑っている。 「吉田はんはええお方やさかい、幸せにしてもらいんよ」 「はい!稔磨さん、よろしくお願いします」 紗恵は稔麿に微笑む。 稔麿は力強く頷くと言った。 「もちろんだ」
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