紅茶を味わうために

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「ところで桂さん。このお茶はどこで手に入れたのですか?」 もし万が一、売ってるお店があるのなら嬉しい。 「佐久間象山先生から頂いたんだ」 「…そう、ですか」 (佐久間象山って大物すぎる…!紅茶を譲ってくれ、って直談判はできんな) 「佐久間先生とは、松陰先生が師事していたという御方ですよね」 稔麿が思い出したように問うた。 「ああ。今京にいらっしゃってる」 紗恵は記憶の片隅に何かが引っかかった。 (佐久間象山…京…幕末…) 「佐久間先生は幕府にも、強い攘夷思想の志士にもお命を狙われているようですが、大丈夫でしょうか?」 「護衛は付けているそうだ。とはいえ完全に安心はできんな」 稔麿と桂は不安げな表情だ。 紗恵の記憶の引き出しが少しばかり開いた。 (命を狙われてる…?そうだ、佐久間象山は暗殺されるんだ!でも、いつかが分からない)
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