紗幕が映す未来

紅茶を味わうために

「佐久間せんせのように、新しい考え方を持つお人は命がいくらあっても足りまへんなぁ…」

その通りだ。

桂も稔麿も常に命を狙われている。

紗恵も存在が知れ渡れば無事では済まないだろう。

いつの時代も革新派と保守派は相容れることがないのだ。

紗恵は少し怖くなった。

その日は4人で日が暮れるまで話し込んだ。

紗恵と幾松で女同士の話をしたり、イギリスの菓子の作り方を教えたり、流行を教えてもらったり…。

紗恵は久々に友達と定義できる人と話せて喜んでいた。

そして、桂と幾松に礼を言って、紗恵と稔麿は帰途に着いた。

それから数日間は、何事もなくいつも通りの時間が過ぎていく。

だがそれは嵐の前の静けさであった。