愛する人を守るために

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山崎はさらに報告を続ける。 「もうひとつ、正体不明やった間者が分かったで」 「誰だ?」 「南や。時期は分からへんけど、寝返っとった!」 「くそっ!!」 土方は拳を壁に強く打ち付けた。 南を有能な味方だと思い、情報を全て信用していた。 それはつまり、南を通じて尊攘派から与えられた虚偽情報に、新撰組は完全に操られていたということだ。 そもそも南を尊攘派に送り込むことを決定したのは土方自身だ。 自らの決定によって情報が筒抜けになり、新撰組が窮地に陥っている。 それは耐え難い屈辱であった。 「副長、南を処分するか?」 山崎は当然南を殺すべきだと考える。 「いや、今度は俺が南を通じて尊攘派を操ってやる…!」 目には目を歯には歯を、土方はやり返す事を決心した。
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