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「じゃあ2つ目の山川屋の話は?」
藤堂が問うた。
「それには目的が2つある。ひとつは南を参加させること。報告という名目が必要だったからだ。もうひとつは、保険だ」
「保険?」
「1つ目の話だけでは会合が開かれない可能性も捨てきれない。しかし、すぐにでも話し合わなければならないことが2つもあれば、必ず会合が開かれるだろう」
「理解しました。今夜の襲撃の具体的な作戦を教えてください」
3番隊組長 斎藤一が言う。
「前回の失態のせいで今回は援軍が期待できない。新撰組のみでの戦闘になる。まず隊を3つに分け、四条から三条にかけて河原町一帯を捜索。会合を開いている店を発見次第、襲撃だ」
「了解!」
一同は気合を入れる。
「ひとつ注意事項がある。尊攘派の新たな主要人物は女だ。その者は必ず生かして捕らえよ!」
「女ぁ?」
原田が首を傾げた。
他の組長たちも信じられないと言った風に眉をひそめている。
「ああ。桂の遠戚で、長州藩士 吉田稔磨の妻だ。有能である上に多くの情報を持っているはず。女であるため刀を使えるとは考えにくい。もし使えても、新撰組隊士が女に負けるなど武士道に背くことだ!生きて捕えられるな?」
「もちろんです!」
「では今すぐに隊士を集め、支度を整えろ!」
「ハッ」
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