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「ゲテモノ料理のことなど忘れて、この美味しいフィッシュアンドチップスを食べましょう。これにはやはり酒が合うな。紗恵さん、何かいい酒はあるか?」
伊藤は悪い記憶は消し去ったとばかりにチップスを口に運ぶ。
「すみません。稔麿さんに、伊藤さんには酒を出すなと言われているんですよ」
紗恵は大して悪いと思っていないような口ぶりで応えた。
伊藤の無言の確認に稔麿は「ああ。言った」と答えた。
「お前は親友に対して冷たすぎるっ!!」
「今更だろう。それに今のお前に酒を出したら面倒ごとになる気がする」
稔麿は魚に箸を入れながら淡々と応える。
伊藤への対応を見る限り親友とは到底思えないのだが、稔麿がこれほど砕けた言動をするのは珍しいことなので、やはり特に親しい友人というのは間違っていないのだろう。
「どういう意味だよ!」
「…」
「自分で分からんのか?」
一同の心の声を井上が代表して言った。
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