大英帝国を語るために

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「俊輔、落ち着け。攘夷決行のことを知っているのなら、同時期の薩摩とエゲレスの戦が引き分けに終わったことも知っているだろう?上役は薩摩が引き分けなら長州も引き分けに、いや、あわよくば勝利に持ち込めると根拠もなく確信してるんだ」 稔磨は興奮した伊藤を宥めると、自分と伊藤の空いた皿にチップスを盛る。 「薩摩と我らでは事情が違うというのに…。薩摩の相手はエゲレス1国のみ、我らの相手はエゲレス・フランスなど4国です。しかも薩摩との戦を経たエゲレス海軍が何の対策も講じないわけがありません。日本国の兵相手にいかに有効な打撃を与えるか、数え切れないほどの戦術が練られているでしょう」 井上は絶望感をあらわにしながら応えた。 高杉は頷いて肯定する。 「俺らは勝てんじゃろうな。ただでさえ多いくの兵を京での戦に投入するんじゃ。徹底抗戦と言うがそれに対する万全の備えやら不可能だ」 「京での戦?まさか天子様相手に?!」 「違う、幕府相手だ。まぁ幕府が勅許を得たら長州は賊軍になるからあながち間違いとも言えんかもな。詳しくは後で話すが、かくかくしかじかで長州は主力部隊を以てして京に進発決起する。だから馬関海峡警備に当たる兵も少なくなるし、欧米国との戦に用いることができる兵も決して多くない。国力差もさることながら、今は圧倒的に不利な状況ということだ」
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