生きるために

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額に手を当て、ふらりと立ち上がった紗恵は障子を開けて外に出た。 すると、想像はしていたが信じられない光景が飛び込んでくる。 建ち並ぶ日本家屋、電柱ひとつ立ってない舗装されてない道、広がる田畑……挙げればきりのない違和感がそこにはあった。 紗恵は膝から崩れ落ちる。 咄嗟に駆け寄ってきた女性に向き直り紗恵は聞いた。 「質問ばかりですみません。ここは、どこですか?」 「壬生寺や。倒れとったお嬢様を住職はんに手伝うてもろて、ここへ運んだんよ」 (壬生…?) 「そうだったのですね。ありがとうございます。」 女性は微笑んだ。 紗恵は少し考えてから言った。 「住職さんに会わせていただくことはできますか?確認したいことと、伝えたいことがあります」 「今からでも大丈夫かぇ?」 「はい」
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